【右うで通信:116】「創造する」ことと「問題解決」とは違う
こんにちは。
中高年の転職・再就職を成功に導く専門家、「転職の右うで」、足立和明(あだちかずあき)です。
今日は、「創造する」ことと「問題解決」の違いについてお話ししたいと思います。
ズバリ、ポイントは、私たちは日々「創造性ある前向きな取り組み(やりたいこと、やるべきこと)」と「問題解決(やらなければならないこと)」をごっちゃにし、ほとんどの時間を後者の問題解決のために費やしてしまっているのです。
「学習する組織」で有名なMITのピーター・M・センゲは、「グローバル経済において望ましい未来を創り出す」というエッセイの中で次のように言っています。
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「創造すること」と「問題を解決すること」の根本的な違いは簡単である。問題を解決する場合、私たちは望んでいないことを取り除こうとする。一方、創造する場合は、本当に大切にしていることを存在させようとする。これ以上に根本的な違いはほとんどない。もちろん多くの人は、仕事でも私生活でも、真に大切なことを創造することに力を注ぐより、問題解決とさまざまな状況への対応にはるかに多くの時間を費やす。実際、私たちは問題への対応で頭がいっぱいで、「自分が本当は何を望んでいるか」ということはすぐにどこかへ行ってしまう。
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なんだか私たちの日々の生活(職場や家庭、地域社会など)の本質を見透かされたような気がするのですが、皆さんは、いかがでしょうか?
これと類似の表現のように思えるのですが、コビー先生の7つの習慣では、次のような絵が出てきます。
仕事や私生活の「習慣」は、「I:緊急で重要」、「III:緊急で重要でない」、「Ⅳ:緊急でなく重要でもない」ことに多くの時間を取られ(費やしてしまい)、「II:緊急でないが重要」なことへ時間をかけていないというものです。
仕事で言えば領域IIは、中長期的な観点で事業を創出したり、人言関係・職場環境をを改善、改革したりということになるかと思います。
そうしてもう一つ、最近読んだ本「嫌いな自分を隠そうとしてはいけない」でも似たようなことが言われています。
人は、自分の嫌いな面(心理学者ユングが「シャドウ」と言った)や過去のトラウマを隠そう隠そうと一生懸命努力し、この努力に多くの時間を費やし、自分のやりたいことや幸せな人生を送るために行動できていない、というもの。
なんとなくわかるような気がします。
さて、ピーターセンゲのエッセイによると、
「組織は、日々の問題を解決することと新たな結果を生み出すことの両方を実行しなくてはならない。だが個人としても組織としても、新しい有意義な何かを創り出すことではなく、問題を解決することを仕事の中心に据えた場合、目的意識を持ち続けるのはむずかしい。深い目的意識がなければ、困難な時代に力強く成長するために欠かせないエネルギーや情熱、献身、粘り強さを発揮することは至難の業である」
と指摘されています。
まさにその通りですね。
上記で示した3つの例は、
・「問題解決」を仕事に中心に据えると、目的を持った取り組みが困難になる
・緊急なことばかりに時間を取られ、本当に重要な課題を生むだしそれに集中できない
・地雷な自分を隠すことに時間を取られ、やりたい事へと行動できない
ということを思い知らせてくれます。